文学研究会騒動記 第7回

 田辺校地で読書会が行われた。

 

 テキストはヘンリー・ジェイムスの「ねじの回転」。英文科の西野先輩の指定だった。古典であり内容は難解、何でこんな本を選んだのと思ったが、何とか読書会前日に読み終えることができた。坂元は欠席、結局南先輩、中群礼、古谷の五人しか出席しなかった。

 

 開始時間が迫った頃、部室から南先輩と肩を組んだ中群礼が、顔を紅潮させて出ていったまま戻ってこない。結局、西野先輩、私、古谷と三人でしんみりと読書会が開かれた。

 

「南先輩と中群礼はどこへ行ったのだろう」

 

と言うと、古谷が、

 

「二人ともラブ・アフェアの真っ最中だろうよ」

と言った。「そんなことがあるのか」と言うと、その光景がおかしかったのか、西野先輩が笑いながら、「芝生の上に寝転んで、本でも読んでいるのでしょうよ」と私の動揺を見透かしたように言った。

 

読書会が終わると、山の麓にあるカラオケ店でビールを飲んで解散した。